「仕事は、生きること」。交流型スポーツイベント開催のため全国を駆け巡るアナリストの内なる情熱

ワーケーションをしている人には、どのようなバックグラウンドがあるのでしょうか。

今回は、沖縄ワーケーション中に出会った、目標のために全国を駆け回るスポーツアナリストの金沢慧さんにお話を聞いてみました!

「いろいろな人のワイフワークに興味がある」「ワーケーションのリアルが知りたい!」といった方は、ぜひご覧ください。これからの生き方のヒントが得られるかも知れません!

   

   

データ利活用のPMO、野球を専門とするスポーツアナリストで、2022年に独立。2020年には「スポーツをきっかけとして文化を再発見し、その価値を発信するプラットフォーム」を目指す「HiVE」の立ち上げを行い、スポーツをきっかけとしたフェスの開催に向けて各地のキーパーソンを繋ぐ活動を続けている。趣味は高校野球観戦。学生時代に阪神園芸で甲子園球場の整備員のアルバイトをした経験がある。

ワーケーションについて

まずは、金沢さんのワーケーション事情について聞いていきたいと思います!

MIKI

金沢さんはいつからワーケーションされているんですか?

金沢さん

2022年の10月からです。

会社員のときは基本的にできなかったのですが、10月から完全独立したので、今はできるようになりました。

10月に福岡、北海道の札幌。今は沖縄にいます。

MIKI

すごいですね! 2ヶ月足らずでそれだけいけるって…!

金沢さん

福岡と北海道は、イベントに参加したいという目的があって行きました。

福岡だと、明星和楽のワークイベント。札幌だとNoMapsですね。

スポーツの「交流の場」としての機能を生かした皆が参加できるイベントを作ることに興味があって、そういったイベントに参加していますね。

MIKI

スポーツアナリストの金沢さんならではの視点ですね。

今回の沖縄も同様の理由なのでしょうか?

金沢さん

そうですね。今回の沖縄では、「琉球アスティーダ」という卓球チームの当時の社長さん(※)とお話ししました

日本のスポーツチームで初めて上場した会社です。2月にアスティーダフェス2月11・12日開催)をするということで、興味を持ちました。

※現会長

琉球アスティーダ
MIKI

社長さんとはもともとお知り合いなんですか?

金沢さん

そうなんです。

毎週木曜日に虎ノ門ヒルズのコミュニティスペースを貸し切って「スポーツ×ソーシャルイノベーション」というテーマのトークセッションイベントを企画しているんですが

アスティーダの社長さんに来てもらったことがあって。

そこで繋がりができ、今回に会いに行きました。

金沢さんが主催するイベント「HiVE」については、下記のとおりです。

スポーツアナリストの機能を因数分解することでスポーツという集落から飛び出し、新たな価値を創造するプラットフォーム。SXSWがアーティストを世に輩出するためスタートしたように、HiVEはスポーツアナリストを世に輩出するため始まったSAJを起源とする、多様でインタラクティブなフェス。

noteより引用

毎週スポーツ関連のゲストを招き、さまざまなカルチャーに焦点を当てトークセッションを行います。元プロ野球選手や監督、スポーツライター・ジャーナリストなど、多様なゲストが登場。

セッションの様子は、YouTubeでもご覧いただけます!

     

MIKI

スポーツを通したイベントを積極的に企画されているんですね。その活動をきっかけに繋がりができているなんて、良い連鎖…!

ちなみに、ワーケーションをしてみてどうでしたか?

金沢さん

最初福岡に行ったとき、思った以上に収穫があり、面白いと感じました。それで北海道、沖縄へ行ってみようと思ったんです。

MIKI

フェスで会った人と交流したりするんですか?

金沢さん

そうですね、来ている人に話を聞くのが目的でもあったので、交流できて良かったと思っています。

MIKI

フェスやイベントで出会った人と繋がりを持つことの楽しさを知り、沖縄にも来たということでしょうか?

金沢さん

繋がりを持てたこともそうですが、似たような熱量をもった人がいると何かが生まれるんだなということを知ったので、それが面白いと思ってっていう感じですかね。

そういう、スポーツ面で似たような考えの人たちを集められる場を作りたいと考えているんです。

MIKI

スポーツイベントを開催するための情報を知りたくて、全国回っているという感じなんですね!

金沢さん

そうですね、日本でやってるスポーツイベントやフェスは網羅したいと思っています。

MIKI

全国のスポーツフェスを周りながらワーケーションするなんて、楽しそう!! 今後旅の予定は決まっているんですか?

金沢さん

今月末は神戸の「078KOBE」というイベントに行く予定です。(※)

その街の新しいことが好きな人たちを動かしている実行委員会の構造が知りたいんです。

誰がいて、どんな目的で運営しているのか。そういうことを知れて繋がれる、ということが重要だと思っています。

金沢さんは、会社員を辞めて独立した現状を生かし、今後の自分の目標「スポーツイベント開催」のための情報収集として全国を回っているということですね。とてもアグレッシブ。

終始落ち着いた雰囲気で理路整然とお話しされる金沢さんですが、確固たる目的があり、言動に迷いがないところに、内なる情熱を感じました。

※取材は11月初旬

    

スポーツアナリストの仕事について

金沢さんはスポーツアナリスト・データアナリストという職業に就いています。個人的にはあまり馴染みのない職種なので、仕事内容について深掘りして聞いてみたいと思います!

MIKI

金沢さんのお仕事についてももう少し聞かせてください!

最初にスポーツアナリストや野球解説をやろうと思ったのきっかけはありますか?

金沢さん

小学校5年生のとき、ヤクルト対オリックスの日本シリーズを見てからですね。ヤクルトがデータでイチローに勝ったんです。

その様を見て、自分もこういう仕事ができたら面白そうだなと思ったんです。

そこから高校まで野球をやり続けました。

MIKI

ご自身も野球をするときにデータを活用していたんですか?

金沢さん

実際それが結果につながっていたかは分からないんですが…

高校まで野球をやっていたのは、やはりいずれ仕事に繋がったら良いなと思っていたんだと。

MIKI

どういう経緯でスポーツアナリストのお仕事をやり始めたんですか?

金沢さん

大学生のときにアナリスト養成講座に入り、そこで繋がりができました。まずアナリストの会社にアルバイトで入り、その後社員になりました。

MIKI

初歩的な質問になってしまうのですが、アナリストとはどういうお仕事なんでしょう?

金沢さん

一般的には、選手のパフォーマンスを上げるために、客観的な情報を提供してサポートする仕事です。

野球に限らずサッカーやバスケ、バレーボールとか色々なスポーツで活用されます。

2014年に日本スポーツアナリスト協会が立ち上がり、今現在まで動いている状態ですね。

MIKI

かなり幅広い職種なのかなと思ったのですが、金沢さんは、スポーツアナリストのなかでもどういう仕事を誰のためにしているんでしょうか?

金沢さん

スポーツアナリストとして多いのは選手の裏側で能力をサポートする仕事ですが、僕はメディアに向けて情報を発信しています。テレビの裏側、監修の仕事が多いですね。

一番分かりやすいのは、野球のデータを使って野球番組の監修。

「こういうデータ・数字があるので、この選手はすごい。こういう能力がある」という情報を世の中の野球ファンに伝えるという仕事ですね。

それが番組の中で自分で話をすることもあれば、コラムにするときもありますね。資料を番組に提供することもあります。

一番目立つものはテレビの仕事ですが、そうじゃないものが大多数です。

MIKI

野球解説者とはどう違うんでしょう?

金沢さん

解説者は元プロ野球選手が自分の経験をもとに話す場合が多く、主観的な語りに魅力があります。一方アナリストは数字で情報を示す。その違いがあると思います。

MIKI

なるほど、分かりやすい!

ちなみにメディア向けのスポーツアナリストは珍しいんですか?

金沢さん

スポーツアナリストというジャンルのなかでは、数は少ないですね。

MIKI

金沢さんはなぜメディア向けのアナリストになりたいと思ったんでしょうか?

金沢さん

僕は野球を見ている人に対して情報を発信する方が好きだと思ったからです。

野球は結局、どっちかが勝ってどっちかが負けます。そういう勝ち負けではなく、「こういう情報をもとにして試合を見ると、もっと面白くなりますよ」という風に影響を与えていきたいんです。

見ている人の知識が広がり、野球がもっと面白くなる、というサポートの仕方の方が好きなんですよね。

MIKI

野球を見ている人がもっと試合を楽しめるように、という気持ちでお仕事をされているんですね。素敵すぎるなあ。

仕事をしていて、良かったなと思ったことはありますか?

金沢さん

以前、会社で本を出したことが本を出したことがあるんですが、手紙に感想を書いて送ってくれる人がいるんです。「僕もアナリストになりたいです」と言ってもらえたときは、やはり仕事をやっていて良かったと思いますね。

本の影響で統計学部に進学した人とか。そうやって、その人の人生に影響を与えられていると知れたときは、嬉しいですよね。

金沢さんが企画、執筆に携わっていた書籍『野球×統計は最強のバッテリーである』

     

MIKI

それはすっごく嬉しいですね! 聞いていて私まで嬉しくなってしまった…!

逆に大変だったことはありますか?

金沢さん

特にないんですが、野球のデータ周りのことは汎用的なスキルではないように見られることもあります。

だから、仕事がなくなってきたり、無理やり生み出さないといけない状況になってくることもあるので、その面では大変だと感じます。

のキャリアを積みたいと転職活動をしまして、いろんな会社を受けてみました。

一般的なデータアナリストのキャリアを積みたいと転職活動をしまして、いろんな会社を受けてみました。その後、実際HR市場でアナリストを始めました。レコメンドエンジンの開発セクションに所属し、会社で働いていましたね。

MIKI

一般的なアナリストの仕事もこなしながら、スポーツ関連のイベント企画やこういったフェスの遠征も行っているんですね…!

金沢さんがスポーツのイベントをやりたいと思ったのも、メディア向けアナリストになった理由「野球を見ている人がもっと楽しめるようになってほしい」の延長なのではないかと感じました。

金沢さん

そうですね、スポーツイベントも、それに通じるものがあると思います。

根底に、「誰もがスポーツを楽しめるように」という気持ちがあるんです。

勝ち負けが得意じゃないので、それより皆で楽しめる方が良いよね、という。

MIKI

スポーツ界の平和の使者だ…!

私も野球を見るときは贔屓チームの勝ち負けにこだわりすぎず、純粋に試合を楽しむようにしよう…

金沢さんの分かりやすい説明で、「スポーツアナリスト」の解像度がぐんと上がりました。データを使うことで選手をサポートしたり、チームを勝利へと導いたり、影響力がある面白いお仕事だ…

そのなかでも金沢さんは、選手やチームではなくメディアに向けた情報発信を中心に行っているとのこと。

「勝ち負けではなく、あくまでスポーツを観る人がさらに楽しめるように」という仕事への向き合い方が、金沢さん自身の柔和な性格を象徴しているように感じ、とても印象深かったです。

     

スポーツイベントをやりたいと思ったきっかけ

金沢さんの「スポーツイベントをやりたい」という目標について、さらに詳しく聞いてみたいと思います!

MIKI

交流型のスポーツイベントをやりたいと思ったきっかけについて、詳しく教えてください!

金沢さん

もともとは、スポーツアナリストを世にPRしていくためのイベントをやっていました。

それがどんどん広がっていき、スポーツが好きかどうかに関わらず、スポーツが本来持っている「交流の場となる機能」を最大限に発揮できるイベントが出来ると面白いのでは? と思ったのです。

そのためにさらに、外側の人たちと繋がるためHiVEを設けました。

ネットワーキングスペースを作ったことにより、多様な方に知ってもらえるきっかけになりましたね。

MIKI

金沢さんは人が集まる場所や、人自体が好きなんですか?

金沢さん

人が好きというか…うーん。場の機能が好きですね。

MIKI

先ほどお話していた、「似たような熱量をもった人がいると何かが生まれる」という部分ですね。

金沢さんはスポーツイベントをやるために全国を駆け巡っていますが、その熱量はどこから来るんでしょう?

金沢さん

日本スポーツアナリスト協会ができる前の勉強会で知り合った、小倉大地雄(おぐら・たつお)さん(※)の影響は大きいですね。

この方は日本水泳連盟でスポーツマネジメントをやっていて、アナリストではなく広報がメインなのですが。スポーツの魅力を発信していく側の人で、近くにいるうちにその熱量に感銘を受けたんです。

※小倉大地雄さん…東京2020組織委員会の国際広報担当課長。公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)発起人・理事

MIKI

仕事で出会った方の影響なんですね! それこそ金沢さんの人生に影響を与える大切な出会いだったんですね。

それにしても、ここまで足を使って動けるのって、相当好きとか、そういう感情がないとできないことじゃないのかなって思うんです。その金沢さんの熱量はどこから来ているんでしょうか?

金沢さん

うーん…

やるもんだと思っているから、それ以上でも以下でもないんですよね。

野球の仕事をやっているのもそうですが、普通に生きているだけでしかないというか。

その辺の感情は自分でもよく分からないんですが、たまたまそれがあったからやってるっていう感じです。

MIKI

わからないというのは、楽しいとかそういう感情が?

金沢さん

それはありますね。あまり個人の感情がどうとかっていうのが得意ではないので…

ただ、結果的に楽しいからやっているんだと思いますが。

MIKI

もちろん、スポーツはお好きなんですよね?

金沢さん

そうですね、それはそうだと。だから出来ているというのも、もちろんあります。

MIKI

自分がやっていることに対しあまり感情が介在していないというのが、面白い…興味深いというか…

金沢さん

自分がその中にいない状態で、上から俯瞰してみるのが好きなんですよね。

僕が予想していたようになっているのか、実際はそこからどのくらいズレているのかなどを確かめるのが好きです。

MIKI

なるほど…客観的に事象に向き合っているんですね。 

ちなみに全国のスポーツフェスはどのような気持ちでご覧になっているんですか?

金沢さん

まず、自分が最初に抱いていたイメージとどうズレているのかを見ます。

あとは、どういう人がいるのか。この人はなぜこれをやっているのか。

MIKI

どういう人に興味を持ちますか?

金沢さん

主体性がある人、主催している人ですかね。

誰かに言われてなんとなくやっている人ではなく、自分がこれをやりたいという信念を持ってやっている人。

その場所になぜ、今それがあるのか。原点になるようなきっかけ、場所についてなどもすごく興味があります。

MIKI

主体性…何か熱量がある人ということでしょうか?

金沢さん

熱量もそうですし、やらなければいけない何かがある人、というのに興味がありますね。

背負っているというか。

ただスポーツが好きというだけではなく、家庭の事情やこれまでの経歴上の理由で、やらなくてはいけないからやっているという。そういう人の話を聞くのが好きなんです。

MIKI

もし金沢さんが、そういう何かを背負う体験をされたらどう感じますか?

金沢さん

私は背負う側にはならないと思いますね…

ただ、そういう人のサポートする側には立てるのではないかと思います。

MIKI

最後に、ワーケーションとスポーツを結びつけてどんなことができると思いますか? 物事を俯瞰し客観的に見れる金沢さんに、ぜひ聞いてみたいです!

金沢さん

ワーケションブームをスポーツと絡めて作っていくとすると、たとえば北海道日本ハムファイターズの新拠点(北海道ボールパーク)をワーケーションの場に活用できるのではないかと。

スポーツツーリズムという言葉はだいぶ前から用いられていますし。

北海道ボールパーク
MIKI

野球場で野球観戦しながら仕事なんて、贅沢過ぎませんか! 北海道ボールパークは、野球場でありながら宿泊施設でもあり、ワーケーションにはもってこいの施設ですよね。

野球場のワーケーションツアーなんて、面白そう…!

金沢さん、今日はありがとうございました!!

      

まとめ

以上、全国のスポーツフェスを駆け巡るアナリスト、金沢さんのワーケーション事情やライフワークをご紹介しました!

今回の取材とても楽しかったのですが、少し…いや、大いに反省した部分もあります。

これまで、何かをやりたいと思い行動に移している人はそれだけの圧倒的な感情があるのではないかと勝手に思い込んでいたのです。

金沢さんの、仕事や自分のやっている活動に対する「普通に生きているだけ」という解は、人間の行動理由の一番の答え、真理のように感じました。

すべての行動の理由は後付けに過ぎず、理由はなくともやってしまうからこそ、天職なのかもしれません。

金沢さんの純粋な情熱が、やりたいことがあるけど動けていない誰かの後押しになれば、とても嬉しいです。

    

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!

   

<書いた人>

miki/ワーケーションライター。東京(の端)と地方を行き来する2拠点生活。無類のカフェ好き。お問い合わせはこちら→mikiworkation@gmail.com

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