2022年12月20日、未来の宿泊施設を謳われる交流型ホテル「ザ・ミレニアルズ渋谷」内のコワーキングスペース(.andwork)にてあるイベントが行われました。
その名も「Outside The Box」。
「これからのライフとワークを考える」と銘打たれたこのイベントは、新たな事業やサービスを創造してきた人びとと共に、これからの生き方や働き方を考えるというもの。
今回はイベントの様子をレポートしていきたいと思います!
「今の働き方、自分に合っているのかな?」「もっと私らしい生き方で人生を謳歌したい!」と感じている方は、明日を変えるヒントとなる内容が目白押しなので、ぜひ記事を読んでみてくださいね。
Contents
Outside The Box
クロストークを通じて既成概念にとらわれず思考・行動し、新たなサービスや事業を創出してきた方々の人生の分岐点や価値観に触れ、ギャザリングを通じて多様なライフスタイルを送る方々と出会い対話し、参加者と一緒に自分らしい働き方、暮らしのヒントを探る。
※記事内のデータや諸情報は、2022年12月20日現在のものになります
※構成の都合上、話す順番を入れ替えている部分があります
イベント概要
まずは主催である株式会社グローバルエージェンツの大田さんから、イベントの概要・趣旨について説明がありました。
イベントの会場にもなっているこのコワーキングスペース「.andwork」は、5階から上はホテルになっています。
そのため、コワーキングスペースを利用するワーカーの方以外に、ホテルを利用するゲストも世界中から集います。
ワーカー同士だけでなく、ワーカーと世界中のゲストとの交流が期待できる場所でもあるんですね。
リモートワーカーである私も、.andworkやその上階にあるホテル「ザ・ミレニアルズ渋谷」を利用させてもらっています。ラウンジでの交流ももちろん、未来感のある客室もスマートポッドもスタイリッシュでワクワクするデザインなんですよね…!
滞在記はこちら▼
ここは、ワークスペースだけでなく、コミニュティプレイスとしての側面も強いと思っています。
今回はその特徴をより加速させたく、このようなトークイベントを実施しました。
新たな事業やサービスを創造してきた人々の人生の分岐点や価値観に触れたり、さまざまなバックグラウンドを持つ人と会話したりすることで自分らしさを考えるきっかけになれば幸いです!
実際に普段からワーカー・宿泊者同士の交流が行われる「.andwork」という場所で、これからのライフワークを考えるイベントが開かれるというのはなんとも象徴的です。
ゲスト自己紹介
次に、新しいライフスタイルを常に発信している3名の登壇者の自己紹介に移ります。
HafH創業者 大瀬良亮さん
こんばんは、大瀬良です!
記念すべき第一回トークに呼んでんでいただきありがとうございます。
私は、旅のサブスク「HafH」を立ち上げて4年目になります。
このサービスは、旅をしながら働く人たち向けにホテルに泊まるのを日常にしていくサービスです。
普通、ホテルに泊まるって決めてからお金払うと思うんですけど、このサービスでは、事前にサブスクでお金を積み立てていく仕組みなんです。
HafHは従来の宿泊サイトとは異なり、毎月貯まるコインを積み立てるシステムなので、よりホテル宿泊が日常に。コインを使わなかったらそのぶん溜まっていくので、気が付くと普段は泊まれないような豪華なホテルを予約できることもあります。
友達紹介でコインを獲得できたりもするので、やり方によっては短期間でたくさんコインを貯めることも可能です。
ワーケーションや仕事で出張が多い人にもってこいのサービスですね。
カラリト代表 平﨑雄也さん
こんばんは、平﨑です。今日は長崎の五島列島福江島から来ました。
もともとは不動産のデベロッパーで働いてたんですけど、2年半前に会社辞めて福江島に移住しました。今はホテルや中長期型の滞在施設を作っています。
主に色々な人を九州に呼んで、九州の魅力を発信しており、仕事で得た知見を地域のために使って行けたらと思っています。
今年の8月に、カラリト五島列島というホテルをオープンしました。海の目の前のロケーションで、デザインチックに作りました。
大瀬良さんもオープン前にいらっしゃいましたよね。
五島列島の暖かさや雄大な自然を全身で感じられるロケーションのなか、地元の人と程よい距離感で触れ合うことができる場所「カラリト五島列島」。
島でのアクテビティも、全部無料でやっているんですよ。
たとえば親戚のお兄ちゃんが釣りに連れていってくれたとき、「餌代500円ちょうだい」とか言わないじゃないですか。そういう感覚でやっていますね。
「サップやりませんか」「カヤックやりませんか」
という感じで気軽に車乗って、五島中を駆け巡って地元の人と一緒に遊びます。
そういうことも、事業の中でさらに積極的にやっていきたいなと思っています
そして最終的には九州に閉じ籠りたいです(笑)。
長崎を中心に九州の魅力を発信し、人びとに新しい生き方を提案している平﨑さん。五島愛を語ってくれました。
五島列島は本当に素晴らしいところです。皆さん来た方が良いです(笑)。
優しさの塊というか。
故郷とは何か、と問われて頭に思い浮かぶものがそのままそこにある感じですね。
隣の人がアジ120匹持ってきたり、農家さんが野菜持ってきてくれたり。現代社会にそんな名残があるのか、とびっくりするくらいのよかよか文化。それがたまらなく良いんですよね。
地方に住んで生活の魅力度を高めながらときどき東京へ行くっていう、地域に根差して生活する逆スタイルもありなんじゃないかなと思います。
株式会社グローバルエージェンツ代表 山﨑剛さん
こんばんは、山﨑です。
今回は開催をさせていただいた側でゲストではないんですが、3名のうちの1人で参加させていただきました。
私はこの中で一番起業歴が古く、2005年に会社を開業しました。今年で17年目になります。会社としては、「文化を作る」をミッションとしています。
創業からやってるのが、「ソーシャルアパートメント」という事業。
通常のワンルーム型マンションに交流を目的としたラウンジを作ることにより、住人同志のコミニュティが生まれる仕組みです。
住んで生活するだけじゃなく、交流を自身の成長に繋げる体験を提供しています。
ソーシャルアパートメントは充実した共用部が魅力の、住人同士の交流を楽しむ新しい形のアパート・マンション。
シェアハウスとは異なり、通常のマンションのようにプライベート空間も確保されているので、自分の時間も住人との交流も大切にできます。
ホテル事業も2013年からやっており、現在11施設・200室。宿泊したことでアップデートできる環境になれば良いなと思っています。
単純に「楽しかった」「デザインに触れてアイデアが浮かんだ」「知見が増えた」など…
なんでも良いんですが、何かしら自分自身をアップデートできる体験を提供する、ということをコンセプトにしています。
HafHの会員さんにも泊まっていただいており、大瀬良さんとも仲良くさせてもらっています。平﨑さんとは、前職(不動産デベロッパー)のとき、一緒にソーシャルアパートメントを開発した仲なんです。
御三方とも人びとの新しいライフスタイルに関連した事業を行なっているということもあり、事業やプライベートでの関わりもあるとのこと。
皆さん人びとの働き方や生き方に敏感で、自分らしい生き方を模索する人に寄り添うような姿勢を感じました。
起業のきっかけ/今後やっていきたいこと
次のテーマは、起業のきっかけと今後の展望です。
僕は不動産デベロッパー時代、マンションやオフィスビル・ホテルを作っていたんですが、五島列島福江島から案件が来て、即答で「住みます」と言い会社を辞めました。
いろんな人に「今の会社は安定していて待遇も良いし、頑張ったら上に行ける」と言われましたが、自分にとって「安定」は「膠着」しているイメージで。
小さいところから自分で生み出していく方が面白いと思ったんです。人生一回きりだから、迷わずに決めましたね。
会社員を辞めた今は、安定はしていないけどレールに乗っていない気持ち良さがあるように感じます。
自分の向かう方向を自分で決め、コントロールできるできるのが会社員時代との大きな違いですね。
平﨑さんは、多くの人が五島列島や九州に住むことを選択肢の一つにしてもらえるよう事業を進めていくと言います。
もともとホテル事業をやる気はなく、中長期滞在施設の方に注力したかったのですが、「五島に2ヶ月住みませんか」って言っても誰も手を挙げないんですね。
そこでホテルがあれば、五島やカラリトについて気軽に知ってもらえると考えたんです。
五島の中心地にある居酒屋には、「カラリト」と書いた焼酎ボトルを置いています。これは勝手に飲んで良いことになっているんですが、みんな本当に勝手に飲むんですよね(笑)。
離島に居酒屋って少し入りにくいイメージもありますが、カラリトから来たといえば入りやすいのではないかと思ったんです。
そうやって少しずつ地域に慣れていき、身を置く人を増やしていくのが今後の目標ですね。
今後は五島だけでなく、宮崎や熊本にも事業を拡大していきたいです。
自分が暖かい気持ちになった経験を皆にも同じように体験してもらえたら…という「幸せのお裾分け精神」。それが平﨑さんの原動力になっているように感じました。
続いて旅のサブスクHafH創業者の大瀬良さんは、自身が仕事で世界中を駆け巡った体験を生き生きと語ります。
僕はもともと広告代理店で楽しく働いてた人間で、ザ・激務でも笑顔でやってきました(笑)。
そんななか、ご縁があって首相官邸で安倍政権のもとに出向し、SNS運用をする仕事をさせてもらえて。
安倍さんは日本で一番外交をした総理大臣だったので、僕も世界各地を回りました。
朝ロンドンに着いて昼にパリ、夜ベルリン、翌朝ブリュッセルにいるみたいな生活でしたね。今見ている川がテムズなのかセーヌなのかも分からなくなってくるんです(笑)。
携帯とパソコンとインターネットがあれば、あとは総理に着いていくだけでした。まだ2016年で、コロナもリモートワークもなかった時代です。
その頃僕は、どこでも仕事はできるということに気が付いたんです。
そしてこれからは、世界中で仕事をする人が増えていくだろうなと。
実は長崎・五島出身だという大瀬良さん。
僕、五島出身なんです。だからずっと長崎で何かやりたいという気落ちがあって。世界で働ける人間が長崎で仕事をしたら面白くないですか?
さらに言えばもとはソーシャルアパートメントの住人でもあって、安倍政権の仕事をする前まで住んでいたんです。ああいうソーシャルアパートメントみたいなものが、東京だけでなく長崎にあったらどうだろう。世界から住みたいって来てくれる人が増えると良いなと思ったんです。
それでまず長崎に旅をしながら働く人の拠点を作り、それを世界中を繋げるため旅のサブスクを持ち込みました。そんな経緯でHafHが出来上がったんです。
グローバルエージェンツの山﨑さんは、学生時代ゲストハウスに住んでいた経験をきっかけに大学4年で起業。
僕は大学4年生のときに起業しました。
当時ゲストハウスに住んでいたのですが、住人がこれまでの人生でまったく関わりがなかった人たちばかりで、交流をしていくなかで多面性を感じました。
実体験として、住人と交流することにプラスの側面を見出したんです。
住む場所というのは、24時間の半分近くを過ごす場所ですよね。そんな場所が、生活機能だけに限定されるのはもったいないと感じて。プラスアルファで交流もできれば良いと考えたんです。
しかし、ゲストハウスの共用部が汚かったり、衛生面に問題があったりと、マイナスの側面もありました。
なので、共用スペースに集中的に投資をし、デザインが豪華で綺麗な、一人暮らしでは得られないようなスペックのものを作り、付加価値として訴求に変えていったんです。
それが今のソーシャルアパートメントになります。企画を作ったのは、大学3年生のときですね。
山﨑さんは今後、ソーシャルワーケーション(※)にも力を入れていきたいとのこと。
今年、ソーシャルワーケーションを実施しました。
ワーケーションに1〜2週間行ったものの、ホテルに篭りっぱなしで交流や出会いがなく逆に孤独を感じてしまう人も多いと思っていて。実際旅に出ても、その場所で自分を受け入れてもらえるかどうかって分からないじゃないですか。
今回企画したソーシャルワーケーションは、1〜2週間のツアー型なんです。
グローバルエージェンツが運営している沖縄のホテルにツアー参加者を20名ほど集め、コワーキングスペースやラウンジも自由に使ってもらいました。
地域の人との交流ではなく、そのホテルに集まった人との交流がメイン。コミュニティを作れば、自発的にいろいろなことが起こってくるんです。それを狙った企画だったのですが、反響も大きかったので、今後も引き続きやって行けたら良いなと思っています。
※ソーシャルワーケーション…「リゾート地でリモートワーク」+「参加者との交流」をテーマにしたツアー型ワーケーション
これからのライフとワークの関係
全体のテーマでもある「これからのライフとワークの関係」について、大瀬良さんを中心にさっくばらんに語っていきます。
生き方の選択肢無限、過酷な時代到来?
経産省は2017年に『良い大学に入っていい良い会社に入り、素敵な方と結婚してローンを使ってマイホームを持ち、年金を使って定年のセカンドライフを送る』というお父さん世代の理想の人生プランを『昭和の人生すごろく』と称しました。
これは昭和の時代の生き方でしかなく、今の時代は、結婚するしないもフラットに選ぶことができる。さらには結婚しても、子供を産む産まないの選択肢もフラットです。
結婚自体、何回もあるかしれない。本当に多種多様な生き方が当たり前にある考え方を正義とするのが、ミレニアルズ(※)以下であるということが、経産省のレポートで認められているんです。
※ミレニアルズ…主に1980年代序盤から1990年代中盤の生まれた世代を指す。「Y世代」「ジェネレーションY」とも呼ばれる
大瀬良さんの言う「昭和の人生すごろく」とは、経済産業省若手官僚が2017年に発表した報告書『不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜』で提言された昭和世代の思い描く理想の生き方像を指します。
同報告書のなかで、こうした「安定」を正義とする社会システムは、高度経済成長真っ只中の1960年代に作られたものだと述べられているんです。
定着した60年代と現役世代を比べると、人生すごろくへの捉え方には差が生じているということですね。
「結婚して、出産して、添い遂げる」という生き方をする人は、50年代生まれの人が81%なのに対し、80年代生まれの人は58%にまで下がっています。「正社員になり定年まで勤めあげる」人も、50年代生まれの人は34%、80年代生まれの人は27%と下がっている。
つまり、昭和時代に生まれた「人生すごろく」の達成率は年々下がり続けているということです。 それは、人びとが多様な生き方をするようになった、と言い換えることができるのではないでしょうか。
こういう生き方がかっこいいとか正しいと言う人もいるけれど、それは誰かの意見であって、自分がどういう生き方をするかは自分で決めることができるんです。
逆に言うと、答えを作らなければ誰かの生き方に乗っからざるを得なくなる。ある種過酷な時代です。
マスクを付ける付けないも、ワクチン4回目を打つ打たないも、自分で決めなくてはいけない。生き方に正解がない時代が、明らかに来ているんです。
確かにコロナ禍を受け、生き方の多様性を強く感じるようになりました。マスクを付けなくても、ワクチンを打たなくても「それがあなたの生き方ならば」と受け入れられるように。
しかしそれは、「その代わり責任はすべてあなたが取るように」と言われているのと同義ともいえるのではないでしょうか。誰かのレールに敷かれるのが嫌ならば、自分で選択した人生に責任を持つこと。大瀬良さんの言う過酷な時代には、そういった側面もあるように感じました。
今世の中、奇しくも、移動しなくても生きていけるようになってきていますよね。Uber EatsやAmazonのおかげで、家にいれば何でも揃うようになった。そんな移動しなくても良い時代に、(移動することに対して)自分なりの答えを探すことが大切なのではないでしょうか。
どれほどの頻度、距離感で移動するのが自分にとって心地良いのかっていうのを、一人ひとり考える時代が来たんです。
そういう時代において、「ライフやワークはこうだ」というのはなくなりつつあるのではないかなと。
「昭和の人生すごろく」も、これ自体悪いわけじゃないんです。それも一つの選択肢として、落ち着くという人もいます。
良い悪いではなく、どういう状態が自分にとって心地良いかを知ることが大切だと思います。
一人ひとりの生き方が違う時代。デジタルの力でどう変化する?
行政は、デジタル基盤の行政を整えて「全国どこでも誰でも暮らせる」ための施策を進めており、それが「デジタル田園都市国家構想(デジ田)」と呼ばれています。
地域の豊かさそのままに、都市と同じまたは違った利便性と魅力を備えた、魅力溢れる新たな地域を作っていこうという動きです。
地方だからこその魅力をデジタルの力で促進していこうという「デジ田」関連の話について、大瀬良さん・山﨑さんがオープンに語ってくれました。
デジ田に乗っかって何かが起こるとするなら、たとえばマイナンバーがあるわけだから、住民税を一つの住民がある場所に払う必要はなくなってくるのではないでしょうか。
2週間五島列島に行ったなら、マイナンバーを使って、2週間分の住民税は五島列島に入るようにしても良いですよね。
現地でワクチンを打ちないとなった場合も、東京まで帰ってこなくても五島で打てるようになれば楽ですし。そういうことができるようになるのかな、と思ったりします。
一人ひとりの生き方が違う時代に、国がどういう制度をデジタルの力で使って作っていくかという部分は興味深いです。
行政は「誰も取り残されないように」という前提があるので、(デジ田とは)視点が違うかもしれません。
私たちは、アーリーアダブターやインフルエンサーを中心に、世の中の新しい情報を自分から選択し考えてやっていく人たちに対してサービスを提供しています。
一定数「こういう暮らし方良いよね」と思ってくれる人はいるので、そういう人に向けて。
売っているのはiPhoneではないので、大量生産はしていないんです。必ずしもマジョリティを狙う必要はないと思っています。
誰もが同じ人生すごろくを歩む必要がなくなった現在、マジョリティ層を狙わなくても市場が成立するほど、ワイフワークの価値観が多様化している。
山﨑さんの語る事業戦略は、一人ひとり生き方の正解が違う今の時代ならではのものに感じました。
世界中のどこかにある自分のホームタウンを探せ!
デジ田についてはあまり話せないですが、五島列島は現在統計史上2年連続人口が増えているんです!
8割は2~30代で、5年定着しています。
東京でこれからの生き方に不安を感じている人も、五島に来て焚き火をしながら話していたりすると、「五島に住めばなんとかなるかも」と目が明るくなるんです。
「最悪死なない」と思うと、今よりいろいろなことにチャレンジできるようになるのではないでしょうか。
自分にとってベーシックとなるホームタウンがあることで、気持ち的にも安定しますよね。
五島にいながら東京で新しくビジネス始める人もいます。
ふと東京で隣の人を見ると、まったく同じ生き方をしているなんてことはざらにあります。(「良い会社入って結婚して家買って…」)
家を買うと身動きが取れなくなって、それこそチャレンジができない環境になってしまうことも…。
たとえば子供の学校も、転出届を出さなくても、提携先の学校で単位を取れたりするんです。
そういう、住む場所に囚われず生きていける制度が増えていけば、コミュニティは広がり、新しいことにチャレンジしやすくなるのかなと思ったりしますね。
まさに子供連れで五島にくると、地元の知らないおばちゃんたちが預かってくれるんです。
普通に知らない人に子供を預けるの怖いと感じるかもしれませんが、五島の人は当たり前にそういうことやっているので慣れているんですよね。
五島に来たことで、親御さんが「子供を見ないで良い時間を取れるんだ」と気付くきっかけになったり。
既成概念のせいで気付けないものって、たくさんあると思います。
「今まで当たり前に会社で仕事をしていたけど、出社しなくて良い世界もあるんだ」という。既成概念を既成概念だと気づくことが大事なのではないでしょうか。
話は個人的に本イベントの肝だと思っている「心のホームタウンを持つ大切さ」に及びます。
自分の実家を「ホーム」だと思っている人も多いと思うんですけど、「なんで移動するんだっけ」って旅をしながら考えていて、実家は物質的な記録としての家でしかないんじゃないかと感じたんです。
心理的な安全を感じられる場所って、実家だとは限らないじゃないですか。
実家とは別に、一人ひとり世界中のどこかに行かなくてはいけない心のホームタウンがあるんじゃないか、と。
旅をしていると、「初めて来たのにになんだこの居心地の良さ」という言葉にできない感覚に陥ることがあるんです。
こういう感覚を探して移動しているんじゃないかと思うくらいでした。
五島にもそういうものを感じさせる何かがあって、皆どんどん移住しているのではないでしょうか。
本当の実家とは違う、心のホームタウン。それを探すために旅をしているのではないか、最近カッコつけて思ったりするんです(笑)。
最終的に「人はなぜ旅をするのか」といった哲学的ともいえる問いの答えに落とし所を付けてくれた大瀬良さん。
何かに突き動かされるように移動を繰り返す多くのミレニアルズ世代に刺さる言葉だったのではないでしょうか。
参加者に話を聞いてみた
トークイベントは無事終了。会場に来ていたUさん(20代女性)にお話を聞いてみました。
イベントに来た経緯を教えてください!
仕事の一環で来ました。
現在コワーキングスペースやラウンジを予約できるアプリを作っていて、(イベント会場の)「.andwork」さんとも進めていけたらと思っているところなんです。
そうだったんですね! Uさん自身もコワーキングスペースを利用してたりするんですか?
そうですね。特に出社は決められていないので、会社が駅から遠いこともありコワーキングスペースで仕事をしたりしています。
東京でお仕事をされているということですが、ご出身はどちらですか?
大阪です。実は今年、東京へ来たんです!
名古屋で働いていたんですが、少し停滞を感じていて。場所を変えたいと思い、異動させてもらったんです。
東京へ来て、実際どうですか?
東京ってすごいです!
コミュニティも広いし、仕事の規模もお金も周り方もぜんぜん違います。それに新しいものを求めている人が多いと感じました。
あとは、働き方も違うなと。
名古屋では、会社とは違う場所で働くという文化がまだ根付いていないんです。
車移動が多く、車内でリモートワークができてしまうことや、家賃も高くないので比較的広い家に住めるので、わざわざコワーキングスペースなどで仕事をする必要もないことが理由なのかなと思うんですが。
なるほど…!
東京とは物価や環境も違うので、ライフワークも自ずと変わってくるんですね。
そうですね。都内でリモートワークをしている方は、いつもと違う場所で気分転換しながら仕事をしている人が多いと感じました。
東京へ来たことで、住んでいる場所によって働き方や生き方も大きく異なることを実感しました。
Uさん自身も停滞を感じたことで東京へ異動し、がらりと働き方を変えたとのこと。「膠着」を感じ五島へ移住した平﨑さんのお話と通づるものがありますね。
平﨑さんは東京から地方へ。Uさんは地方から東京へ。
人により魅力を感じる場所は違いますし、それ自体流動的なものでしょう。
楽しそうに東京での仕事の話をするUさんを見て、自分にとって最適な働き方を実現するため、誰もが柔軟に移動できる世の中になれば良いな…としんみり思ったのでした。
まとめ
以上、これからのライフとワークを考えるイベント「Outside The Box」のレポートをお届けしました!
本当に濃い内容で、書ききれないくらいでした。
率直に思ったのは、今はどんな生き方もできる時代なんだなと。
そんななか大切なのは、自分にとって心地良い場所や時間を自分できちんと理解していること。それは日々変わるかもしれない。だから、常に自分の心を見つめ続けていく。それは停滞の中では難しいから、移動する。移動を繰り返していく。
そうすることで、すごろく通りにはいかない自分だけの人生設計へと繋がっていくのだと感じました。
そしてその先に、心のホームタウンがあるかもしれない…!
この記事を読んだ皆さんが、自分の生き方や働き方を見つめ直せたり、「最近ちょっと停滞していたから、旅にでも出てみようかな」なんて思えるきっかけになれば幸いです。
「Outside The Box」のイベントは今後も行われていくということでしたので、興味がある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
<書いた人>
miki/ワーケーションライター。東京(の端)と地方を行き来する2拠点生活。無類のカフェ好き。お問い合わせはこちら→mikiworkation@gmail.com